赤字企業と黒字企業の違いは何か【理念経営No.53】
- 西里喜明

- 7月13日
- 読了時間: 3分
更新日:8月10日
~魚は頭から腐るというが、組織は経営者の姿勢で変わる~

同じ業界で、同じような経済環境の中にあっても、着実に利益を積み上げる企業がある一方で、慢性的な赤字から抜け出せない企業もある。その違いは、本当に景気や人手不足だけなのだろうか。
もちろん、外部環境の影響は小さくない。しかし、多くの企業を見てきた経験から感じるのは、企業の命運を分けるのは、経営者の考え方や組織の在り方であるということだ。
「魚は頭から腐る」という言葉がある。組織も同様に、経営者の姿勢や価値観が組織全体に大きな影響を及ぼす。
黒字企業の経営者には、共通して一本の太い軸がある。それが経営理念である。
理念とは単なるスローガンではない。「何のために会社は存在するのか」「誰のために事業を行うのか」という存在意義そのものである。
理念が明確であれば、意思決定に迷いが少なくなる。新規事業への投資、人材採用、設備投資、取引先の選定など、日々の判断に一貫性が生まれる。理念が羅針盤となり、組織全体が同じ方向を向いて進むことができる。
一方で、理念が曖昧な企業は、目先の利益や流行に流されやすい。判断基準が状況によって変わるため、組織全体に迷いが生じ、社員も何を優先すべきか分からなくなってしまう。
経営者の資質も重要である。
黒字企業の経営者は、数字だけではなく「人」を見ている。現場の声に耳を傾け、人材を信頼し、権限を委ねる。そして、社員が成長できる環境づくりに力を注ぐ。
人を信じるから任せることができる。任されるから責任感が育ち、経験を積んだ社員が会社の力となる。この積み重ねが、組織全体の実行力を高めていく。
一方で、赤字企業では、経営者が社員を十分に信頼できず、細かな指示や管理が増えることがある。その結果、社員は受け身になり、自ら考えて行動する機会を失ってしまう。
もちろん、すべての赤字企業がそうとは限らない。しかし、人が育たない組織では、どれほど優れた戦略を描いても実行力が伴わず、成果につながりにくい。
そして、理念と経営者の姿勢が積み重なって形成されるものが経営風土である。
黒字企業には、挑戦を歓迎する空気がある。失敗を責めるのではなく、そこから学び改善する文化がある。社員同士のコミュニケーションも活発で、情報共有が自然に行われる。
このような風土は、制度だけでは生まれない。
経営者が挑戦を評価すれば社員も挑戦する。経営者が誠実であれば社員も誠実になる。経営者が理念を語り続ければ、それはやがて組織の文化となって根付いていく。
反対に、挑戦より保身が優先される組織では、改善の提案は減り、失敗を恐れる空気が広がる。社員は「どうせ言っても変わらない」と感じ、組織は少しずつ活力を失っていく。
こうした風土もまた、経営者の日々の言動によって形づくられていく。
企業経営とは、結局のところ「人の営み」である。
経営理念を掲げること、人を育てること、挑戦できる風土をつくることは、経営者にしかできない仕事である。
経営者が変われば、組織は変わる。
組織が変われば、業績も変わる。
もちろん、景気や市場環境の影響を受けることは避けられない。しかし、それ以上に企業の未来を左右するのは、経営者自身の理念と姿勢である。
だからこそ、経営者には日々、自らの理念を問い直し、社員を信じ、組織風土を育て続ける姿勢が求められる。それこそが、企業の持続的な成長と黒字経営への第一歩になるのではないだろうか。



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