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【進化系管理会計コラム】第3回:損益分岐点は、「いくら売るか」ではなく、「いくら利益が出るか」で考える

執筆者の写真: 木場一緒
木場一緒
10 分前
読了時間: 4分

今回は、損益分岐点【貢献利益】について考えたい。


タイトルを「パッと」見て、「聞いたことない」と思われたと思う。

一緒に考えてほしくて、造った、仮の用語である。


損益分岐点は、英語では、Break Even Point で日本語にすると「収支トントンになる境目」。つまり、「売上高と全ての費用が同額で、利益がゼロ」になる点である。


「全ての費用」を、「変動費」と「固定費」に分けるとすると、損益分岐点は、

売上高 - 変動費 - 固定費 = 0

と定義できる。


固定費を移項すると、

売上高 - 変動費 = 固定費

になる。


つまり、

貢献利益 = 固定費

である。


「貢献利益=固定費」となる貢献利益を、損益分岐点【貢献利益】と仮に呼びたい。

これを、直観的に分かるようにグラフにするとこうなる。


図①「貢献利益=固定費」


「あれ?こんなにシンプルだっけ?」と思われた方も多いのではないだろうか?

普段、よく目にするグラフは、こうなっている。


図②「売上高-変動費-固定費=0」

これは、「売上高-変動費-固定費=0」を直観的に分かりやすくしたグラフである。


「売上高-変動費-固定費=0」と「貢献利益=固定費」が同じことを意味しているので、図①と図②が意味していることは、全く同じである。


会計や簿記のテキストでは、図②から解説するので、実務で必要があって調べている人に、とっつきにくく感じさせてしまう。


「貢献利益=固定費」については、俗に「固定費を貢献利益で回収する」と表現される。

英語圏の教材では、「固定費という「バケツ」を貢献利益という「水」が満たしていき、縁まで来た瞬間が損益分岐点、それ以降あふれた分が利益、という水位メタファー」で説明することがあるようだ。

下の図のようになる。

直観的で分かりやすいと思うがどうだろう。



経営者は、「日商がいくらあれば回る」というように、採算ライン(損益分岐点)を日常の身体感覚で言い表すことがある。


飲食店では、席が一日に何回転すれば黒字かという回転数基準や客単価いくらで一日何人入れば成り立つという客数基準。


小売・物販では、棚一本(一坪)あたりいくら稼ぐか、という棚効率・坪効率。


製造・受託加工では、この機械を一日何時間動かせば元が取れる、という設備の時間あたり採算(チャージ/マシンレート)。ラインを止めたら一時間いくら飛ぶ、という停止コストの感覚。


宿泊業では、一部屋いくらで何室埋まれば回るか、という稼働率×客室単価。


これらの採算ラインを超えたら、「収支がトントン」を上回る、つまり、月々の経常支出(固定費)を賄えるという「身体感覚」である。


それを、全社員に共有するには、「いくら売るか」ではなく、「いくら利益が出るか」で考えることがとても大切になる。


①「売上高-変動費-固定費=0」これは、損益分岐点を損益の結果から捉えた表現。

伝えている内容としては「利益がゼロになる点」。

過不足なく正しい。だが、受動的。

現場社員には、自分事にはなりにくい。


②「売上高-変動費=貢献利益=固定費」これは、損益分岐点を固定費回収の過程から捉えた表現。

伝えている内容としては「社員が生み出した貢献利益によって、会社の固定費をちょうど回収し終える点」。

損益分岐点という語の定義には回り道。だが、能動的。

現場社員に、自分の行動が固定費回収に直結するという当事者意識を生む。


③この二つは、同一の点を指している。

違うのは、損益の結果から見るか、固定費回収の過程から見るかである。

優劣ではなく、役割の違いである。


皆様の会社で、採り入れるべきは、①と②のどちらであろうか。

メンタルモデルを転換してみてほしい。


全員がCVP分析を理解する方法を、次回、掘り下げていきたい。 株式会社CSDコンサルタンツ

中小企業診断士 木場 一緒


 

このシリーズは、全12回でお届けします。次回以降も、ぜひお読みください。

 

第1回 もし全社員が損益分岐点を使えるようになったら?

第2回 損益分岐点は、「売上高」で考えるから分かりにくくなる。

第3回 損益分岐点は、「いくら売るか」ではなく、「いくら利益が出るか」で考える。

第4回 販売数量が「一」増えると、自社の原価と利益は、いくら増えるのだろうか。

第5回 損益分岐点は、解説グラフが変わるだけで、驚くほど分かりやすくなる。

第6回 なぜ、損益分岐点解説グラフの売上高線は、原点から45度なのだろうか。

第7回 損益分岐点解説グラフの横軸は、本当は何を表しているのだろうか。

第8回 損益分岐点は、本当は中学生でも分かる。

第9回 原価をもっと直接に考えれば、利益はもっと簡単になる。

第10回 利益を最大化したい。しかし、その会計学の前提は現実的なのだろうか。

第11回 社員が現場で意思決定できて、初めて会計は「使える道具」になる。

第12回 全社員が経営者と同じ目線で意思決定する会社へ。


 

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