【経営者のための組織づくり】第3回 評価のモノサシ①


「あいつはよく頑張っている」
経営者や管理職に、特定の人について聞くと、こんな回答が返ってくることがある。
ところが、「では、誰が一番頑張っていますか?」と聞いてみると、
社長と部長とで、違う社員の名前が出てくることがある。
なぜか。
それぞれが持っている「頑張っている」のモノサシが揃っていない可能性がある。
もちろん、部署や仕事の内容によって評価の基準(モノサシ)が違うのは不自然ではない。
しかし、ここにはもう一つ、評価を難しくするものがある。
それは、
「期待」 と 「事実」 の違い。
社長のモノサシには、
「もっとこうなってほしい」 「この役割まで担ってほしい」 という社員への期待が盛り込まれ、
一方、直属の上司や社員は、
「実際に何をしたのか」 「どんな成果や行動があったのか」 という事実を評価してほしいと考える。
その逆もあるかもしれない。
期待と事実が同じモノサシの中に混ざると、評価のズレが生まれる。
さらに、そもそも「何を頑張っていると評価するのか?」が、評価する人によって違うこともある。
ある上司は「売上を上げる社員」を高く評価し、別の上司は「後輩の面倒をよく見る社員」を評価する。また別の上司は、「言われたことを確実にやる社員」を、評価しているかもしれない。
どれも間違いではない
問題は、会社として「何を頑張ることを大切にするのか」が、共有されていないことにある。
たとえば、「お客様第一」を大切にする会社であれば、お客様への提案や丁寧な対応を評価する。
「挑戦」を大切にする会社なら、新しい仕事への挑戦や改善提案を評価する。
評価のモノサシは、社員に対して、「私たちの会社は、こういう行動を大切にする会社です」と、会社が大切にしたい考え方を、社員の日々の行動につなげていく仕組みであると考える。
では、会社として「頑張る方向」を決めれば、それで評価は揃うのか。
実は、もう一つ問題がある。
同じ評価項目でも、人によって言葉の解釈が違うこと。
会社の評価シートに、「ミスやクレームが出ないよう、トラブルの未然防止に努めている」という評価項目があったとしよう。
社員Aさんは、“クレームが無かった”ので、自己評価を5点満点の5点とした。しかし、第一評価者である上司は3点を付けた。
一方、社員Bさんは、自身が原因のクレームがあったため自己評価を1点としたが、上司は3点を付けた。
これは、人事評価でよく起きる「評価項目の解釈のズレ」。 なぜこうなったのか?
この項目が評価しているのは、「クレームがあったか、なかったか」という結果だけではない。
「ミスやクレームが出ないよう、トラブルの未然防止に努めているか」という行動を評価している。
Aさんは、「クレームがなかった → だから5点」と考えた。
しかし、クレームがなかったこと自体は良い結果でも、それだけで5点とは限らない。
たまたま問題が起きなかっただけなら、未然防止に対する意識や行動が高かったとは言えない。
一方Bさんは、「自分が原因のクレームがあった → だから1点」と考えた。
しかし、普段は必要な確認・報告・情報共有を行い、未然防止に努めていたのであれば、一度のクレームだけで1点とするのも適切とは言えない。
では、何点が適正なのか?
次回は、この評価基準を具体化してお示しする。



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