第3回 ChatGPTで業務効率化はきっかけに過ぎない
~「作業を早くする」から「仕事そのもの、方法を見直し、任せる」へ~

生成AIの活用というと、「文章を作ってもらう」「メールを考えてもらう」「分からないことを質問する」といった使い方をイメージする人が多い。しかし、生成AIの活用方法は、それだけではない。
業務効率化を考えるうえで重要なのは、「一つひとつの作業を速くする」だけではなく、
「そもそも、その作業を人間が毎回行う必要があるのか」と考えることである。
例えば、毎朝、業界ニュースを確認し、重要な情報を整理しているとする。これまでは担当者が検索し、記事を読み、必要な情報をまとめるという作業を毎日繰り返していた。
ChatGPTを活用すれば、このような定型的な情報収集をAIに任せることができる。
「毎朝、○○業界の最新ニュースを確認し、中小企業経営に影響がありそうな情報を3件選び、それぞれ概要と経営への影響をまとめる」
といった仕事を、スケジュール機能によって定期的に実行させることができる。
これは単なる「リマインダー」とは違う。
「朝9時になったらニュースを見る」と知らせてもらうのではなく、「ニュースを調べ、重要な情報を整理し、結果を届ける」という一連の作業をAIに任せるのである。
他にも、業務への活用方法は数多く考えられる。
例えば、
・毎朝、業界や競合企業の最新情報を確認する・定期的に補助金・助成金の情報を収集する・毎週、営業活動の振り返りを行う・会議後に、決定事項や次回までの宿題を整理する・毎週、売上や利益などのKPIを確認する・定期的にブログやSNSの発信テーマを考える
といった使い方である。
ポイントは、「AIに何を質問するか」だけではない。
「自社の仕事の中に、繰り返し発生している仕事はないか」「毎回、同じような情報を集めていないか」「定型的な判断や整理をしていないか」
という視点から、自社の業務そのものを見直すことである。
例えば、月に20回発生する定型業務が、一回あたり15分かかっているとする。AIによって一回5分まで短縮できれば、単純計算で月200分、年間では40時間の削減になる。
さらに重要なのは、削減された時間を何に使うかである。
単純作業の時間を減らし、その分、顧客との対話、社員の育成、新しい商品の開発、経営判断など、人間だからこそ価値を発揮しやすい仕事に時間を振り向ける。
これが、本当の意味での業務効率化である。
また、こうした活用を始める際には、いきなり会社全体の業務をAI化する必要はない。
まずは「毎週行っている情報収集」「定型的な文章作成」「会議後の整理」など、一つの業務を選んで試してみる。
そして、時間がどれだけ削減されたのか、品質に問題はないか、担当者の負担がどう変わったのかを確認する。
うまくいけば、次の業務へ広げていけばよい。
生成AIによる業務効率化とは、単に「仕事を早く終わらせる」ことではない。
AIに任せられる仕事を見つけ、人間が本当に取り組むべき仕事に時間を振り向けることである。
そして、そのためにはAIの使い方を学ぶだけでなく、自社の仕事の進め方そのものを見直す必要がある。
生成AIを導入することは、単なるITツールの導入ではない。
「この仕事は本当に必要なのか」
「毎回、人間がやる必要があるのか」
「もっと良い仕事の進め方はないか」
と問い直すきっかけでもある。
AIを使う視点を持つことで、仕事の進め方そのものも変わっていく。
まずは一つ、自社の「繰り返し作業」をAIに任せてみることから始めたい。


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