経営者のための組織づくり 「評価のモノサシ②」

「あいつは頑張っている」の基準、社長と部長でズレていませんか?②
前回コラムで、会社の評価シートに「ミスやクレームが出ないよう、トラブルの未然防止に努めている」という評価項目があった場合の、“具体的評価項目を例示する”と話した。代替
~おさらい~
社員Aさんは、“クレームが無かった” ので、自己評価を5点満点の5点とした。
しかし、第一評価者である上司は3点を付けた。
一方、社員Bさんは、自身が原因のクレームがあったため自己評価を1点としたが、
上司は3点を付けた。
これは、人事評価でよく起きる「評価項目の解釈のズレ」です。 なぜこうなったか?
この項目が評価しているのは、「クレームがあったか、なかったか」という結果だけではない。 「ミスやクレームが出ないよう、トラブルの未然防止に努めているか」という行動を評価している。
Aさんは、「クレームがなかった → だから5点」と考えた。 しかし、クレームがなかったこと自体は良い結果でも、それだけで5点とは限らない。
たまたま問題が起きなかっただけなら、未然防止に対する意識や行動が高かったとは言えない。
一方Bさんは、「自分が原因のクレームがあった → だから1点」と考えた。 しかし、普段は必要な確認・報告・情報共有を行い、未然防止に努めていたのであれば、
一度のクレームだけで1点とするのも適切とは言えない。
これを具体的な評価基準にしたのが下表(例)である。
<評価基準の具体化例>
点数 | 評価の定義 | 行動の例 |
5点 | 期待水準を大きく上回る | トラブルの兆候を自ら察知し、事前に対策している。さらに、原因分析や手順改善、周囲への注意喚起などを行い、組織として再発・発生しにくい状態をつくっている。 |
4点 | 期待水準を上回る | 起こり得るミスやトラブルを予測し、早めの確認・相談・対応を行うなど、自発的な未然防止行動が継続して見られる。 |
3点 | 期待される水準 | 必要な確認、報告、連絡、相談、手順の遵守などを行い、通常求められる未然防止行動ができている。 |
2点 | やや改善が必要 | 確認不足や報告の遅れなどが時折あり、上司や周囲から注意・指示されて対応することがある。未然防止への意識・行動が十分とはいえない。 |
1点 | 大きな改善が必要 | 必要な確認や報告を怠るなど、ミスやトラブルにつながりかねない行動が繰り返され、指導を受けても改善が十分に見られない。 |
※クレームがなかった=5点、クレームがあった=1点、ではない。
「何が起きたか」だけではなく「本人が何をしたか」を見る。
だから評価基準には、評価者が観察できる『行動』を入れる。
そうすれば、結果だけに引っ張られた評価を減らすことができる。
しかし実際に評価してみると、
「この基準では判断しにくい」
「この言葉は人によって受け取り方が違う」
といったズレも出てくるだろう。
私個人の感覚では、このケースの3点(期待される水準)と4点(期待水準を上回る)の「評価の定義、行動の例」について、評価する側と評価される側で、認識のすり合わせが難しいであろうと感じる。
また、3点の「必要な確認、報告、連絡、相談、手順の遵守などを行い、通常求められる未然防止行動ができている」状態を、4点と考える上司も少なくないのではないかと思う。
何を評価するのかを揃える。そして、その言葉が何を意味するのかも揃えることで、会社が大切にしたい考え方と、社員の日々の行動が少しずつつながっていく。つまり、社長の「期待」が日々の行動の「事実」として揃っていく。
社長と幹部が、試しに評価し、「うちの会社にとって、頑張っている社員とはどんな社員なのか」を徹底して話し合い、モノサシを修正する。これを繰り返すことで、少しずつ会社としての「頑張る方向」が揃っていくであろう。
最後に、一つだけ質問です。
あなたの会社では、どのような成果や行動を『頑張っている』と評価するのか、社長と幹部で共有できていますか。

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