【代表メッセージ】企業の品格と経営理念~米価格高騰と企業の品格を考える~【理念経営㊶】
- 西里喜明

- 7月7日
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前回、都市の顔といわれる高級都市ホテル業界と、産業・生活のインフラといわれる郵便事業者の不祥事の件を取り上げた。各企業はもともと業界でも屈指の優良企業であったと記憶している。経営理念も明文化され、市場にも評価されている品格のある企業だと認識していたが、どこで変わったのだろうか。
そもそも、企業の「経営理念」と「品格」は、表裏一体の関係にあると考える。簡単に言えば、経営理念は「企業がどうありたいか」を示す羅針盤であり、企業の品格は「その理念をどれだけ誠実に体現しているか」を映す鏡といえるのではないだろうか。
経営理念は、企業の存在意義や社会的使命、価値観を明文化したものだ。例えば「お客様第一」「持続可能な社会への貢献」「誠実な経営」などが掲げられる。
一方、企業の品格とは「見えない資産」であり、信頼・尊敬・共感といった無形の価値を積み重ねたものであるといえる。短期的な利益では測れないが、長期的には企業の存続と繁栄を支える最も重要な基盤になると考えている。別の言い方をすると企業の品格とは、日々の行動や意思決定、社員のふるまい、社会との関わり方ににじみ出る「企業としての人格」のようなものである。
つまり、経営理念が単なるスローガンにとどまらず、実際の企業活動に根づいているかどうかが、企業の品格を決定づけることになる。
理念に沿った行動を一貫して続ける企業は、社会からの信頼を得て、ブランド価値や社員の誇りにもつながる。経営理念が企業文化として浸透し、品格として外部に伝わっている企業は着実に成長していくであろう。
逆に、理念に「環境保護」を掲げながら、実際には環境負荷の高い事業を続けているような企業は、理念に背く行動で品格を疑われることになり、社会・市場からの信頼をなくすことになるであろう。
最近の米騒動問題に関して考えてみると、米価格の高騰で消費者は食生活に支障をきたし、中には生活に困っている消費者も出ているといわれている。
米流通に関連する事業者はどのような思いで経営に取り組んでいるのだろうか。その経営理念を確認してみたい気がする。利益確保を否定するものではないが国民・消費者の食生活を守るという社会正義のために正しい流通の在り方を実践する流通事業者の出現、まさに品格のある企業の出現を待ち望んでやまない。
株式会社CSDコンサルタンツ
代表取締役 西里 喜明



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