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【代表メッセージ】倫理資本主義が必要とされる背景は何か【理念経営㊵】

  • 執筆者の写真: 西里喜明
    西里喜明
  • 23 時間前
  • 読了時間: 3分

 東京の老舗・高級ホテル15社のカルテル疑惑が指摘され、再発防止の警告も出されている。近年のコロナ禍の厳しい環境から脱し、インバウンド需要の増大等、景気の急回復の兆しの下、経営の立て直しを図るための情報交換会という名目は理解できる。しかし当ホテル業界では過去数十年にわたり、宿泊料金や稼働率に関する情報交換が行なわれていたとの指摘もあり長年の慣行のような気配もある。


 直接的な被害額は算出されていないが、老舗・高級ホテルのカルテル疑惑は倫理的あるいは経営理念的に考えても、納得しがたいものがある。老舗・高級ホテルは単なる宿泊施設ではなく、地域を代表する顔としての社会的役割や地域の歴史・伝統・文化を継承してく重要な責務があるからだ。


 他方では、郵便という社会のインフラを担う公共性の高い事業を行っている事業者が郵便運送、配送事業の許可を取り消しされるという事態になりかねない不祥事が発生した。自社の社会的責任をどのように考え、現場を仕切る社員をどう教育しているのだろうか。


 地域経済をリードし、社会の成長に寄与すべき存在としての企業となるか、自社の利益、あるいは業界の利益団体としての存在で終わるのか、経営者として倫理観を持って考える必要があるのではないだろうか。


 これら一連の事象を見ても、今、なぜ倫理資本主義が求められているのかが理解できる。


 従来の資本主義が利潤の最大化を目指し、自社の都合優先の経営強化に取り組んできた結果、環境問題や経済的格差、社会的不平等の問題が深刻化し社会課題となっている。その課題解決の方向性として倫理資本主義が脚光を浴びている。


 倫理資本主義は道徳的価値と経済的価値をバランスよく統合し、持続可能な社会形成を目指す考え方といえる。その実践として、日本では古くから知られている澁澤栄一氏の唱える「論語と算盤」をベースにすることができる。以下の考え方はその代表例である。


◆道徳と経済の両立:利益を追求することは、悪ではないが道徳的な判断・行動で利

益を確保し、持続可能な経済活動を行う。


◆人格形成の重要性:経済活動を行う上で、誠実さや信頼が不可欠であり、『論語』の教えを理解して人格を磨くことが大切。


 『論語』等の道徳的な教えの理解によって「経営者の人間的成長・人格形成」を

図り、持続的経営を可能たらしめるために算盤の意識を持ち「利益」を確保していく。

 この良いバランスが「良い社会」をつくり「人々の幸せ」を築いていくといえる。


 倫理資本主義を単なる理想論として捉えるのではなく、現代の社会課題を解決するための現実的な経済モデルとして実践していきたい。そして良い会社づくりと人々の幸福の両立が実現する社会を目指す経済人として自覚と責任をもって取組んでいきたいものである。



株式会社CSDコンサルタンツ

代表取締役 西里 喜明

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